筆記具の多様化による鉛筆市場縮小の流れの中、北星鉛筆は様々な企業努力により生き残ってきた。例えば、原材料をコストダウンのため、国産木材からアメリカ産や中国産へ切り替えている。また販売チャネルを増やすため、コンビニ向けに先をあらかじめ削った鉛筆を供給している。ボールペンやシャープペンシルのメーカー向けに、これらの軸として鉛筆用木材を削ったものを供給している。
同業者が淘汰されていく厳しい市場環境の中、なんとか生き残ってきた北星鉛筆ではあるが、当社の社長は中国製品の台頭をみるにつけ、危機感をつのらせた。これまで通りの経営では、日本の20分の1という人件費を背景とした中国製品の価格競争力に圧倒されてしまうからである。
そこで北星鉛筆では10年ほど前から、鉛筆の製造過程で大量に出る木材の削りくず(おがくず)のリサイクルに着手した。最初にバーベキュー用の薪(まき)を製品化した。これはおがくずをパウダー状にし圧縮して固めたものであったが、燃料卸から全く相手にしてもらえず売れなかった。当社にとって燃料卸は馴染みのない販売チャネルだったのである。
その後紆余曲折を経て、おがくずに水と接着剤を加えて「おがくず粘土」を開発することに成功した。教材販売会社に働きかけ、学校向けの教材カタログにおがくず粘土を掲載してもらった。さらに文具問屋の紹介で、大手デパートで粘土教室のイベントや実演販売も行った。このような努力が功を奏して、おがくず粘土を文具ルートのチャネルに乗せることに成功した。そして2005年には50万個、5千万円を売り上げている。
以上の北星鉛筆の事例から、新商品開発の際のチャネル選択がいかに大切であるかがお分かりいただけると思う。商品を企画する段階で、どのチャネルに乗せるのか、そのチャネルは当社が活用できるものか、を十分に検討しておくことが大切なのである。
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